ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)について

当センターでは、大気、河川水、土壌などの環境試料や、工場排水、廃棄物の最終処分場周辺の地下水などに有害な成分が入ってないかを検査しています。有害な成分の一つにカドミウムや鉛といった重金属があり、これらはICP-MSを使って検査しています。

ICP-MSとは

この装置は、液体の中から検査したい元素だけを取り出して計数することができる装置です。装置は、「試料導入部」、「イオン化部」と「質量分析部」から構成されています。「試料導入部」では、液体の検査試料がアルゴンガスの吹き込みにより霧状になります。「イオン化部」では、高周波の電流により、アルゴンガスが6000〜8000℃のプラズマ状態になり、試料中の元素がイオンになります。「質量分析部」では、検査したい元素はばらばらのイオンになっていますので、それを質量ごとに分けて数えます。

従来の分析装置では、一回の測定でひとつの元素しか測れませんでしたが、ICP-MSはいろいろなイオンを質量ごとに分けて数えますので、複数の元素を同時に測ることができます。また、検査する成分が1リットル中に1マイクログラム(1グラムの100万分の1)くらいであっても検査することができます。

ICP-MS

ICP-MSの写真

イオン化部

肉眼で見ると危険なので、フィルターを通して撮影しています。左側の白い部分がプラズマ状態のアルゴンガスです。

イオン化部の写真

ICP-MSの構成

ICP-MSの構成の図

検査の流れ

液体の試料の場合は、試料に硝酸などの薬品を加えて加熱することで、液体に溶けきれていない重金属を十分に溶かしてからこの装置に注入します。大気中の粉じん、土壌、廃棄物のような固体の場合は、薬品などで検査する成分を溶かし出し、液体にして検査をします。

ホットプレートで試料を加熱している様子の写真

ホットプレートで試料を加熱(容器から不純物が溶け出ないフッ素樹脂製のビーカーを使っています。)

検査結果の例

濃度の分かっている標準物質の信号の強さ(左図)と試料の信号の強さ(右図)を比べることで試料中の濃度を知ることができます。

左図の標準物質にはカドミウムの2本の信号がありますが、右の試料には信号がありませんので、カドミウムがないことが分かります。一方、鉛(青色3本)は標準物質に対して試料の信号の強さが半分くらいですので、試料中の鉛の濃度は標準物質の約半分くらいであることがわかります。

検査結果の写真

信号が2本や3本あるのは、同位体の存在により複数本の信号が見られるところ、カドミウムでは2本の信号だけを、鉛では2本の信号だけを選んで見ているためです。